レストランでのふるまい|予約から会計まで、相手が心地よく過ごせる作法

Gentleman’s Notes紳士の手帖 七冊目レストラン

いいお店を予約したのに、当日はなぜか落ち着かない。メニューを前に迷い、ワインを勧められて固まり、会計のタイミングで慌てる。料理はおいしかったはずなのに、思い出すのは自分のぎこちなさばかり。そんな経験のある方は少なくないはずです。

相手にとって初めてのお店なら、緊張しているのは相手も同じです。こちらが落ち着いていれば、その落ち着きは相手にも伝わります。

レストランの作法は、堅苦しい決まりごとではありません。相手と自分が料理と会話に集中できるよう、迷う場面を前もって減らしておくための段取りです。

「紳士の手帖」七冊目は、レストランでのふるまいです。予約の電話から、席の選び方、注文、ワイン、カトラリーとナプキン、食事中の気配り、会計、お店への感謝まで。順を追ってまとめました。

予約|電話の前に決めておくこと

予約は、当日の段取りの半分を決めます。電話やネット予約の前に、伝えることを整理しておきます。

伝えることポイント
日時と人数第2希望の時間も考えておくと、やりとりが早く済みます。
名前と連絡先当日つながる電話番号を伝えます。
コースか、アラカルトかコースを先に決めておくと、当日に値段を気にせず過ごせます。
苦手な食材・アレルギー相手に事前に聞いておきます。当日に伝えるより、お店も準備しやすくなります。
席の希望窓際、個室、静かな席など。必ず通るとは限らないので「できれば」と添えます。
目的(誕生日・記念日など)お祝いの席であることを伝えます。

店を選ぶ段階では、相手の帰り道も考えます。駅から近いか、帰りの電車の時間に無理がないか。料理の好みと同じくらい、相手が安心して帰れることは大切です。初めての店なら、営業時間や定休日も事前に確かめておきます。

記念日の伝え方

誕生日や記念日なら、予約の時点で伝えます。デザートのお皿にメッセージを書いてもらえる店も多くあります。その場合は、名前の表記(ひらがな、ローマ字など)と、出すタイミングの希望も伝えておきます。サプライズにしたいときは、「本人には内緒でお願いします」とひと言添えます。

ドレスコードのある店かどうかも、予約の際に確かめておきます。変更やキャンセルは、わかった時点ですぐに連絡します。連絡のない無断キャンセルは、お店にとって大きな損失です。

ネット予約の場合も、備考欄に同じ内容を書いておきます。デザートのメッセージなど細かい依頼は、念のため電話でも確かめておくと確実です。

当日の到着|5分前と、遅れるときの連絡

お店には、予約時間の5分前に着くのが目安です。早すぎると、まだ準備の途中であることがあります。入り口では「19時に予約している○○です」と名乗ります。

店に入るときは、ドアを開けて相手を先に通します。名乗るのは自分の役目です。相手を入り口で待たせずに、そのまま席まで案内してもらいます。

  • 待ち合わせを店の前にする場合は、自分が先に着いて相手を迎えます。
  • コートや大きな荷物は、クロークがあれば預けます。
  • 遅れそうなときは、わかった時点でお店に電話し、到着の目安を伝えます。相手にも同時に連絡します。
  • 香水やコロンは控えめにします。料理の香りを邪魔しないためです。

相手が先に着いてしまう場合に備えて、予約の名前を相手にも伝えておきます。そうすれば相手は先に店に入って待つことができ、寒い日や雨の日に外で待たせずに済みます。

席|上座は入口から遠い席

レストランの上座は、入り口から遠い奥の席です。壁を背にした席、ソファ側の席、景色や庭が見える席も上座とされます。反対に、通路側や出入り口に近い席は下座です。

お店の方が最初に椅子を引いた席は、たいてい上座です。そこに相手を案内し、自分は相手が座ってから座ります。景色の見える席なら、景色が相手から見える向きにします。バッグは、荷物かごがあればそこへ。なければ背もたれと背中の間か、足元に置きます。

カウンター席の場合は、入り口から遠い側の席に相手に座ってもらいます。並んで座るので、体を少し相手のほうへ向けると会話がしやすくなります。

注文|メニューは相手のペースで

  • メニューは、相手が読みやすい向きにして先に渡します。
  • 相手が選び終わるまで、急かさずに待ちます。「ゆっくり選んでください」のひと言で十分です。
  • 迷ったら、お店の方におすすめを聞きます。わからないことを尋ねるのは、恥ずかしいことではありません。
  • 料理の量は、相手と同じくらいに合わせます。片方だけが何皿も頼むと、食べ終わるタイミングがずれます。
  • 相手の前で、値段の話をしません。予算はコースを決める段階で済ませておきます。

注文を伝えるときは、相手の分もまとめて自分が伝えると、お店の方もやりとりがしやすくなります。ただ、相手が自分で伝えたそうなら任せます。

取り分ける料理を頼んだときは、お店の方に取り分けをお願いできるか聞いてみます。自分で取り分けるなら、相手の分から先に、きれいに盛りつけます。

赤ワインの入ったグラス
写真:Unsplash

ワインの基本|テイスティングは品質の確認

ワインを頼むときは、ソムリエやお店の方に、料理、好み(赤か白か、軽めか重めか)、予算を伝えます。予算は、ワインリストの価格のあたりを指して「このあたりで」と伝えると、相手の前で金額を口にせずに済みます。

テイスティングの手順

  1. ボトルのラベルを見せられたら、注文したワインかどうかを確かめます。
  2. グラスに少量注がれたら、色を見て、香りを確かめます。
  3. ひと口含んで、異常がないかを確認します。
  4. 問題がなければ「お願いします」と伝えます。相手のグラスから注がれます。

テイスティングは、ワインが傷んでいないかを確かめるためのものです。コルクの劣化によるかび臭さや、酸化による異臭がないかを見ます。「思っていた味と違う」「好みではない」という理由で取り替えるためのものではありません。迷ったら、そのままお店の方に相談します。

  • 注いでもらうときは、グラスを持ち上げず、テーブルに置いたままにします。
  • グラスは、脚(ステム)の部分を持つと、ワインの温度が手で上がりにくくなります。
  • 乾杯は、グラスを目の高さに軽く掲げます。薄いワイングラスは、ぶつけ合わないのが一般的です。
  • 相手がお酒を飲まない場合は、ノンアルコールの飲み物をすすめます。無理に勧めません。

グラスのワインが少なくなったら、お店の方が注ぎ足してくれます。格式のある店では、自分でボトルを持って注がず、お店の方に任せます。

ナプキンとカトラリーがセットされたテーブル
写真:Unsplash

カトラリーとナプキン

カトラリーは外側から

ナイフとフォークは、料理が出る順に外側から並んでいます。外側から1組ずつ使えば、迷うことはありません。

場面置き方
食事の途中ナイフとフォークをお皿の上で「ハの字」に置きます。ナイフの刃は内側に向けます。
食べ終わったときナイフとフォークをそろえ、お皿の右斜め下(時計の4時の方向)に置きます。日本で一般的な置き方です。

カトラリーを落としたときは、自分で拾わず、お店の方に目で合図して新しいものをお願いします。パンは、ひと口ずつちぎって食べます。

スープは、音を立てずにいただきます。少なくなったら、お皿を軽く傾けてすくってかまいません。パン皿は、自分の左側にあるものが自分の分です。

ナプキン

  • 注文が済み、最初の料理が出る前に膝に広げます。
  • 二つ折りにして、折り目を手前に向けて置きます。
  • 口や指を拭くときは、折った内側を使います。汚れが外から見えません。
  • 途中で席を立つときは、軽くたたんで椅子の上に置きます。
  • 食べ終わったら、軽くたたんでテーブルの上に置きます。きっちりたたみすぎないのが一般的です。

自分のハンカチで口を拭くのは避けます。用意されたナプキンを使わないと、かえってお店に気を遣わせてしまいます。

食事中のふるまい|ペース・スマートフォン・中座

食事中にいちばん気を配りたいのは、相手との食べるペースです。自分だけ先に食べ終えて相手を待たせると、相手は急いで食べることになります。相手が口に料理を入れているときに質問をしない。それだけで、会話も食事も落ち着きます。

  • スマートフォンはしまう:テーブルの上には置かず、通知も切っておきます。
  • 写真は断ってから:撮影してよいお店かを確かめ、相手にもひと言断ります。フラッシュは使わず、手早く済ませます。
  • 料理の説明は聞く:お店の方が説明しているときは、会話をいったん止めて耳を傾けます。
  • 中座はコースの合間に:お手洗いは、料理と料理の間に「少し失礼します」と言って立ちます。
  • 声の大きさ:となりのテーブルに会話が届かない程度にします。

沈黙を怖がる必要はありません。料理が運ばれてきたとき、ひと口目を味わうとき。言葉のない時間も、心地よい食事の一部です。無理に話題を探すより、相手の表情を見ていれば、次に話すことは自然に見つかります。

レストランで過ごす時間の主役は、料理と、目の前の相手との会話です。作法は、その2つを邪魔しないためにあります。店選びや当日の組み立てはデートプラン例も参考になります。

会計と、お店への感謝

会計は、テーブルの外で静かに

一般的なデートでは、テーブルの上で金額のやりとりを見せないのがスマートとされます。よく使われるのは、次のような方法です。

  • デザートのあと、お手洗いに立つタイミングで会計を済ませておく。
  • 予約の時点で、事前決済やカード払いができるか確かめておく。
  • 席で会計をする店では、伝票の金額を声に出さず、手早く済ませる。

会計を済ませたあとは、何事もなかったように席に戻ります。済ませたことをわざわざ口にして、相手に気を遣わせないためです。

なお、CROSS ROADのデートでは飲食代はお客様のご負担なので、キャストは会計の段取りをスマートに整える役に徹します。

日本のレストランでは、チップは基本的に不要です。サービス料が料金に含まれている店もあります。

感謝を伝える

帰り際には、お店の方に「ごちそうさまでした。とてもおいしかったです」と伝えます。料理のどこがよかったかをひと言添えると、なお伝わります。お店の方への態度は、相手もよく見ています。誰に対しても丁寧な人と一緒にいると、相手も安心できます。

店を出たら、相手にも「今日は来てくれてありがとうございます」と伝えます。お店への感謝と、相手への感謝。その2つで、食事の時間が気持ちよく締まります。

CROSS ROADは、会う時間の質に手を抜かないことを大切にしています。その考え方はCROSS ROADについてにまとめています。こうしたふるまいを仕事として磨きたい方は、キャスト募集もご覧ください。

よくある質問

Q. テーブルマナーに自信がありません。

完璧でなくて大丈夫です。外側のカトラリーから使う、音を立てない、相手のペースに合わせる。この3つを守れば、大きく外すことはありません。わからないことは、お店の方に聞いてかまいません。

Q. ワインに詳しくないのですが、頼んでも大丈夫ですか?

大丈夫です。料理と好みと予算を伝えれば、ソムリエやお店の方が選んでくれます。詳しいふりをするより、素直に相談するほうがずっとスマートです。

Q. 予約の時間に遅れそうなときは?

わかった時点で、まずお店に電話をして到着の目安を伝えます。コースの店では、遅れると料理の段取りが変わるためです。相手にも同時に連絡します。

Q. 相手がお酒を飲まない場合は?

ノンアルコールのカクテルやお茶を一緒に選びます。自分だけが飲みすぎないことも大切です。お酒の量で、会話のペースが変わらないようにします。

Q. 料理の写真を撮ってもいいですか?

お店のルールによります。撮影を控えてほしいお店もあるので、迷ったらお店の方に確かめます。撮るときは、フラッシュを使わず、ほかのお客様が写らないようにし、料理が冷めないうちに手早く済ませます。

まとめ

レストランの作法は、相手が料理と会話に集中できるようにするための段取りです。

  • 予約では、人数、時間、苦手な食材、記念日を伝える。
  • 到着は5分前。遅れるときは、すぐに連絡。
  • 上座は入り口から遠い奥の席。相手に譲る。
  • ワインのテイスティングは、好みではなく品質の確認。
  • カトラリーは外側から。ナプキンは二つ折りで、内側で拭く。
  • スマートフォンはしまい、ペースは相手に合わせる。帰り際には、お店に感謝を伝える。

料理の味と一緒に「また来たい」と思える時間を残せたら、その夜はきっと成功です。

次の『紳士の手帖』では、コートの選び方と着こなしを取り上げます。

この記事を書いた人

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